産婦人科
産婦人科について
2019年4月より金谷太郎が当院産婦人科の診療を担当しています。
ここ最近の少子化やコロナ禍など産婦人科としては逆風とも思える厳しい環境が継続していますが、当科を受診いただいた患者さんには、少しでも満足いただける診療を提供したいと考えています。
当科診療上の重要項目は以下の4点です。
- 周産期管理
- 婦人科疾患手術
- 女性のライフサイクルに合わせた診療
- 生活環境を配慮した心のケア
1.周産期管理
少子高齢化が叫ばれて久しい我が国ですが、子供を産み育て幸せな家庭生活を築きたいとの思いは世代間を超えた共通の願いです。現在は価値観や生活環境の多様化が進んで、「快適で幸せな出産」を願う声は以前よりも高まっています。当院では公立病院の産婦人科が担う使命を果たすため、できる限り多くの妊婦さんの声に耳を傾ける努力をスタッフ一同続けます。
コロナ禍で入院・出産時の家族の立会いが今しばらく制限されていますが、妊婦さんを含めてすべての入院患者さんにPCR検査をお願いしており、クラスターの発生予防には細心の注意を払っています。多くの方がテレビ電話でご家族に出産を報告されているのを隣で微笑ましく眺めていますが、コロナ収束の暁には立会い出産が再開されることを当科としても待ち望んでいます。
妊娠中の母児に万が一配慮すべき兆候を見つけた場合は、個々に改めて治療方針の説明を行います。石川県内の周産期センター(金沢大学、金沢医療センター、石川県立中央病院、金沢医科大学)とも緊密な連携を取って、より質の高い周産期管理の実践を目指します。
2.婦人科手術
我が国における婦人科領域の手術方法は、ここ最近「腹腔鏡手術」や「子宮鏡視下手術」などの鏡視下手術が標準術式として定着し、「ロボット支援手術」も先端医療としての応用が始まりました。
当科は主として、子宮の良性腫瘍に対しては「開腹手術」を、卵巣の良性腫瘍に対しては「腹腔鏡手術」を多くの患者さんに勧めています。子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの良性疾患は頻度が高く、本当に手術適応か薬物療法の選択肢はないのか、患者さんと納得いくまで相談して方針を決定します。腹部手術のほかにも、子宮がん検診でよく見つかる子宮頸部異形成や子宮内膜ポリープなどに対して、子宮頸部円錐切除術や子宮鏡下内膜ポリープ切除術などを積極的に行っております。
悪性腫瘍に対する集学的治療などは、当科で精査したうえで方針を検討し、必要であれば連携しているセンター病院へ紹介します。
3. 女性のライフサイクル
現代日本の社会変化は、女性のライフサイクルにも大きな影響を及ぼしました。
10代前半で初潮となり50歳前後で閉経を迎えるのは時代が変わっても大きな変化はありませんが、現在我が国では出産が減って閉経後の人生が長くなりました。「年齢相応に年老いてもよい」と考える人は稀で、「いつまでも若く美しく生きたい」「健康寿命を延ばしたい」と思う方が大半だと思います。
更年期に対するホルモン補充療法、漢方療法、サプリメント等について、当院ではそれぞれのメリットとデメリットについて丁寧な説明を心がけて積極的に推奨しています。治療の開始・変更・中止等、疑問点があれば、是非相談してください。
若年女性の「月経困難症」「子宮内膜症」についても積極的なホルモン治療を勧めています。単に「生理が重い…」と感じているだけでも、是非一度相談に来てください。ご家族と一緒の受診も大歓迎です。
子宮頸がん予防ワクチンの接種勧奨もようやく再開されました。世界中で進められている子宮頸がん征圧の第一歩です。「うちの娘に打つべきか?」「副反応が心配だ」と思われている方も、是非一度相談に来てください。
結婚されたら「プレ妊活検診」を強くお勧めします。現在石川県主体で行われている、夫婦でともに考える妊娠のための検査です。これを契機に自然に様子を見るのか、検査を追加するのか、不妊治療を開始するのかなどについて相談します。
4.心のケア
現代は何かと不安になることが多い世の中です。
筆者(金谷)はこれまで前任地でも当院赴任後も、精神科疾患に悩む妊婦さんや婦人科患者さんに多くお会いしてきました。精神科専門医への紹介を必要とするほどではない、軽い不安感を持った方はさらに多数いると感じます。
当院に受診された患者さんの中に、もし不安なことがあるのであればまず、心の中の問題点は何なのかをできる限り問診でお聞きします。産婦人科診療で解決できるか、精神科専門医や高次機能病院へ紹介すべき方か、ソーシャルワーカーや行政の担当者に引き継ぐ問題は何か、に注意して相談を進めます。
診療内容
初診時の問診について
外来初診時の問診には、一見婦人科と関係ないと思われる点も伺います。
一般的な問診について
初潮年齢、結婚年齢、閉経年齢、妊娠・出産回数などに加えて、既往歴、家族歴、喫煙・飲酒歴、内服薬、ご職業、配偶者などについてもお聞きします。産婦人科以外の診療情報も今後の方針決定に重要な意味を持つ場合があるためですが、2回目以降の再診では詳細な問診は省略します。
一般的な産婦人科外来診療について
子宮頸部細胞診と経腟超音波エコー像を重視します。問診での訴えや診察時の所見において必要と判断された場合に、子宮体内膜組織検査、腟内細菌培養検査、クラミジア・淋菌検査などを追加します。若年者・性交未経験者の場合には内診以外の経腹超音波検査や採血検査などで方針を検討します。
妊婦健診について
4D超音波画像診断装置を用いて胎児の画像診断を行います。妊娠週数相当の胎児発育か、胎児の形態異常はないか、胎児心拍・羊水量・臍帯血流が正常範囲内か、胎児の顔貌に異常はないかに注目して検査しますが、妊婦さん本人がご家族と一緒に胎児エコー像を見たい場合は、ぜひ一緒に診察室に来ていただきたいと思います。
初診時の問診について
外来初診時の問診には、一見婦人科と関係ないと思われる点も伺います。
助産師について
妊婦健診時の出産に対するアドバイスや出産後の乳房管理など、当院助産師も積極的に関与します。妊婦さんには妊娠中の栄養・体重管理や出産前に準備することなどを看護師・助産師が説明します。妊娠中・出産後のメンタルヘルスや育児環境などについてもアンケートを通じて確認し、相談のうえで支援が必要な事はないかともに考えます。
その他
授乳コーナー
授乳コーナーをご用意しております。 お気軽にご利用ください。
マタニティクラス
スタッフ紹介
金谷太郎 科長
- 担当分野:産婦人科一般、婦人科細胞診
- 資格等:
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・教育研究指導医
金沢大学医薬保健学域医学類 臨床准教授
石川県医師会母体保護法指定医
石川県難病指定医
金沢市医師会子宮頸がん検診精度管理委員会委員
日本周産期・新生児学会 新生児蘇生法専門コース 修了