慢性腎臓病は、本邦では約1,300万人が罹患しているといわれている慢性疾患です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が腎硬化症、糖尿病性腎症などの慢性腎臓病の原因となります。症状がなく、ひそかに進行する沈黙の病気です。脳梗塞、心筋梗塞などを発症する危険性が高く、一度症状が出現すると生活の質が低下し、命取りになることもある病気です。さらに腎機能が低下すると透析治療が必要となります。
日本腎臓学会では、慢性腎臓病の腎臓専門医への紹介基準(表)を決めています。eGFR(推算糸球体濾過量)が45ml/min/1.73m2未満、または尿蛋白(+)以上の方は、一度腎臓専門医への受診をお勧めします。
当科では、慢性腎臓病の原因、合併症精査、治療として生活習慣の改善、腎臓食の栄養指導を行っています。減塩食、タンパク制限食により、腎臓機能の低下が緩徐になることをめざしています。もちろん、禁煙が必要です。
生活習慣病で通院中の方では、かかりつけ医と腎臓専門医が二人主治医制で診療を行っています。安定している方では、当科へは3〜6か月毎の受診で、ふだんは、かかりつけ医へ通院し、検査、処方を受けてもらっています。
慢性腎臓病が気になる方は、かかりつけ医にご相談の上、受診してください。
また、慢性腎臓病の患者さんには、短期間の慢性腎臓病検査教育入院を行っています。慢性腎臓病は、心脳血管疾患を合併することが多く、血管合併症の検査を行います。また、腎機能が低下する速度を抑えるための腎臓食を実際に食べていただき、覚えてもらいます。管理栄養士から栄養指導を受けていただき、退院後の食事療法についても相談にのっています。
慢性腎臓病は、かかりつけ医と腎臓専門医とが二人主治医制で、診療を行うことで、治療効果の向上が期待されます。
